格闘
というほど意識した闘いではないのだが
雄猪を仕留める。
運悪く足くくりわなに掛かったイノシシは
ワイヤーの届く範囲で暴れまわり
回りの土を掘りあげて土塁を築く。
人間が近づくと牙や歯をカチカチ鳴らして脅したり
鼻づらで土を飛ばし相手の視界を遮る戦法をとる。
仕留める側の人間のほうは
くくられているワイヤーの損傷具合を確認し
できれば彼を見下ろせる立ち位置を探したい。
彼は散発的に突進を繰り返す。その瞬間に
ワイヤーが切れて体当たりされたり
鋭い牙で噛みつかれるのは怖いので
人間も必死になって棍棒を彼の眉間に振り下ろす。
山の木立の中で安定した足場を確保するのが難しい。
ときに転げまわりながら棍棒でどつく。
彼の動きが止まり体を横たえる。口に棒を噛ませておいて
ナイフで頸動脈を刺す。血がどくどく噴く。合掌。
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