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2013年5月20日 (月)

他人の痛み

古代パーリ語の経典に

「いずれ10歳人間の謳歌する時代がくる」

という予言めいた言葉があるらしい。

10歳人間とはなんだろう。

幼い子どもは私という一人称で世界が完結しているので

そこにあなたや彼彼女は入ってこない。

少しずつ少しずつその子は外界をまなぶ。

いわゆる思春期に他者という概念をつよく

意識しはじめ、同時に自らをとりまく世界や性の

扉を開ける。

つまり10歳人間とは

一人称だけで完結してしまったまま大人になった人

をさすのではないか。

どんなに賢くても優れた身体性や芸術の素養があっても

他者への共感性を欠いた大人は子どもである。

他者への共感性を欠いた大人は

他者の痛みを自分の身に引き受ける想像力

を欠いている。

そういう大人が政治家になり教師になり医師になり

他者に影響力を及ぼす地位に座るとき

やはり、現在こそが「10歳人間の謳歌する時代」と

言わざるをえない。

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