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2013年7月26日 (金)

段々畑考

ひとマチひとマチ

不規則な地形に逆らわず丁寧に

石垣を積んである。

ときには石作りの暗渠も見られる。

きれいに除草すると遺跡のようにも見える

そんな段々畑が周防大島には多い。

この段々を維持するのはなかなか難しい。

昨今は個人がそれぞれの責任で修復せざるをえないため

お金がかかりますます難しい。

何年か放ったらかすと

まず吸出しといって地下に水がくぐるようになり

その水の通り道から土が流出していく。

いったん土が下へ流れ出すと

遠からず土地の陥没を起こす。

陥没しはじめると壁のような石垣が外側にふくらみ

ある日突然崩れる。

緻密に築かれた石垣の段々も

土地そのものが使われなくなると

ただの山の斜面に還る。

昔の人々は重機などなくても

吸出し現象を素早く見つけて

適切に水を逃がしたり

近隣の結いや講をたのんで

明渠や暗渠を敷設したり

段々畑の排水に汗を流したのだろう。

石垣のある風景は日本人の心をなだめる。

人の歴史と技術を身近に感じることができる。

祖先からの遺産である。

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