先住民
我々がここに暮らし始めたとき
この家には居住者がすでにいた。
そもそもこの家には
トイレというものがなかったので
はなは住むのを嫌がり
毎日実家からうちに出勤していた。
オレはしかたないので約1か月
トイレを作りつつその他諸々
家の内部を住める状態にするため
にわか大工に精を出す。
屋内電気もなぜか断絶しているらしく
しかたないので電線を買ってきて
本当はやってはいけないのだが
にわか電気工事しにもなった。
夜になっても台所しか明かりがなく
しかたないのでヘッドライトで書き物をする。
ライトを消して寝ようとすると
枕もとでかさかさ、かさかさと乾いた音がする。
ときたまその足が腕に触れる。ぎょっとして
振り払う。海辺キャンプとほとんど同じ。
彼ら日中もどこからか迷いこんでくる。
というかたぶんここは彼らにとっても家なのだろう。
こうして今も我々とふなちゃんとの付き合いは続く。
コメント