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2015年3月 6日 (金)

『くちびるに歌を』

15歳という微妙な時代も

過ぎてしまえば過去のとある日で

振りかえって自分の影を見れば

過去が今を支配していると考えるのはおこがましい。

思い出はいつも自分に都合よく

脚色できる色褪せたねつ造写真みたいに

記憶の淵をさまよっている。

15歳のオレは15年後のオレに

手紙なんか書かなかったけれど

15年後のオレも15歳のオレに送る言葉などない。

一回性の道を誰しも歩いており

その道が逆戻りできない一回性の道だと理解したとき

人はおとなになってしまっている。

心はばらばらに割れはしない。それに

割れてもいい。

自分の心を顧みて修復しようともがけばいい。

心を刷新することはできないが

傷をいたわることはできる。

もがきはいたわりである。

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