啓蟄の候も過ぎ
おひさしぶり。
ここ周防大島はこのなんにちか
空気が目に見えてゆるんできた。
こういう日々はお山で昼寝でもして
まどろんでいたい。
これはオレの持論だけど、
人間ぼーっとする時間って大事。
忙しいと口にするとき、人はその忙しい状態に置かれた自分に
酔っているのだ。忙しさは美徳でもなんでもない。
特に日本人は仕事大好き民族なので、
ぼーっとしてばかりいる人にとっては肩身が狭い。
以前、ミヒャエル・エンデというドイツの作家のエッセイを読んだ。
かいつまんで言うと、
その昔西洋人がインディオたちに荷物を担がせて
南米奥地を探検した。何日も何日も歩き続けた。
とある朝、インディオたち皆が車座になって
ぽけーっと煙草をふかしてその場から動こうとしない。
忙しさにいそしんでいる西洋人は彼らのその姿を見て
さぼっていると決めつける。
ひとりのインディオがぽつりという。
「われわれはいそがしく歩き続けて来たせいで
どこかに魂を置き去りにしてきてしまった。
しばらくここでわれわれの魂が追いつくのを
待っているのだ。・・・」 (だい)