映画私論
かなり頻繁に映画館に通う。
うちにはテレビはないので
ドラマやドキュメンタリーはひたすら映画館に足を運ぶ。
なぜテレビではだめなのか。
まず画面が小さい。
DVDレンタルしても番組放送でも
その映画独特の味わいがか弱い。
味覚に旬があるように
映画館という空間が醸す臨場感が必要なのだ。
映画という作品はそれ自体だけで完成しない。
所詮人間のつくりごとの世界なので
映画を包むリアルな人と呼吸によって
つくりごとはまさしくつくりごとらしくなり
作品は切迫して我が身に近づく。
この世のあらゆる芸術作品は一回性という
流れ星のような宿命を負っている。私のなかの
誰も気づかなかったような神経の糸に触れる
なにかがある。その一瞬の触発を受けたいがために
映画館で映画を観る。
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