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2015年1月

2015年1月11日 (日)

味噌仕込み

今年初めてのみそ作り。

うちの仕込みは超シンプル。

前日から一昼夜水に浸けておいた大豆を煮る。

水は山の湧水。

大豆は去年うちで穫れたもの。去年は豊作だった。

煮立てて耳たぶほどに柔らかくなった大豆を

すりこぎでつぶす。

すりこぎはみかんの木で自分で作った。

擂粉木棒はたいてい山椒の木で作ってあるが

山椒もミカン科なので遜色ない。

なめらかになった大豆に塩切りした麹を加える。

塩もいずれ自給したいが今のところシママース。

麹は例のごとくうちの小米。

大豆と麹を両手で練って掻き合わせて揉む。

甕の底にソフトボール大の味噌玉をぶつけ空気を抜く。

投げ終えたら表面を平らにして落し蓋と重石。

年に3~4回切返して年末まで寝かせる。

こんな簡単な仕事で申し分ない味噌に仕上がる。

百姓の殿様味噌と呼びたい。

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2015年1月10日 (土)

蒸し

麹を作る前の下準備。

うちでは麹用に小米しか使わない。いわゆるくず米。

なぜって?単純にそれで十分だから。

別にプロの技を披露するわけではない。

日々のお百姓仕事の合間を縫ってする

ぜいたく仕事なので小米で上等。

ただしどうしても菌のはぜまわりにムラはでる。

蒸米の上がり方も均一にはならない。

そこは目をつぶって

素材の旨味を引き出すという面に焦点を絞る。

おざなりにされそうなくず品を新たな角度からよみがえらせる。

それは私たち百姓の使命のひとつ。

Dsc05000 年代物の蒸し器。じつは近所の優しいおばあさんに借りて

返していない。すみません。

2015年1月 9日 (金)

格闘

というほど意識した闘いではないのだが

雄猪を仕留める。

運悪く足くくりわなに掛かったイノシシは

ワイヤーの届く範囲で暴れまわり

回りの土を掘りあげて土塁を築く。

人間が近づくと牙や歯をカチカチ鳴らして脅したり

鼻づらで土を飛ばし相手の視界を遮る戦法をとる。

仕留める側の人間のほうは

くくられているワイヤーの損傷具合を確認し

できれば彼を見下ろせる立ち位置を探したい。

彼は散発的に突進を繰り返す。その瞬間に

ワイヤーが切れて体当たりされたり

鋭い牙で噛みつかれるのは怖いので

人間も必死になって棍棒を彼の眉間に振り下ろす。

山の木立の中で安定した足場を確保するのが難しい。

ときに転げまわりながら棍棒でどつく。

彼の動きが止まり体を横たえる。口に棒を噛ませておいて

ナイフで頸動脈を刺す。血がどくどく噴く。合掌。

Dsc00751 60kg雄猪。

2015年1月 8日 (木)

解す

麹を育てていて

ふっとよぎることがある。

手で米を揉み塊りをほぐすという行為に

人の生きざまが現れているんじゃないかと。

蒸米を一粒一粒ほぐし

麹菌をまんべんなく種付けする。

菌が繁殖しはじめた米をほぐし

固まらないように気を配る。

生き物は身心の緊張と緩和をくりかえしながら生きている。

月の満ち欠けのように

寄せては引く波や潮目のように

凝りを解し時を待つ一連の呼吸のように

肩ひじ張らずに暮らしたいな。

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2015年1月 7日 (水)

七草

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新暦の7日が七草粥の日だというのが

いまいち腑に落ちないが

朝ごはんはお粥。

セリナズナゴギョウハコベラホトケノザスズナスズシロ

と唱えながら

毎年春の七草を探しに

うちの田畑の回りを歩くが

セリとゴギョウとホトケノザは見つからない。

代わりに畑のよもぎと春菊とほうれん草をつまんで

これにスイバを足して八草とした。

他にさつま芋も入れて頂きます。

お粥には梅干必須。糠漬けの紅芯大根も添えて。

旧暦の正月七日も覚えておきたい。

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2015年1月 6日 (火)

くされ酛

酛とは簡単に言うと

酵母菌の培養液。

うちでは自己流くされ酛をまず作る。

くず米(田布施の福本さんとこの山田錦の小米を精米)1升

麹(うちで作った)2合

ぽんぽん菓子(大分は由布市の農園てとて)1合

焼おむすび(うちの古米)3個

水(うちの山から湧く)

ぜんぶ無農薬のこんな贅沢な原料を配合して

どぶろくを仕込める幸せ。

農家の友人たちが汗水たらした結晶のハーモニーを

だいじに使わせて頂きます。感謝。

Dsc01088 米と水。

2015年1月 5日 (月)

濁酒

去年1月に

うちの小米を使って麹を作り

その麹を使ってどぶろくを仕込んだが

これがもう感動もので

今年もあの感動を再び味わいたいがために

連日麹作りに励んでいる。

3年前に初めて挑戦したときは

温度管理で失敗続き

黄色く老ねたような出来だったが

少しずつ慣れてきた。

最近は深夜に起きて切返さないですむように

ちょっとした手抜き管理のこつをつかんだ。

まっ所詮素人自家製麹なので

少々老ねたのは味噌作りに使って

なんとか自賛できる品をどぶろくに使う。

Dsc01086 この本が私の教科書。

2015年1月 4日 (日)

広島在住の詩人アーサー・ビナードさん

がおっしゃっていた。

日本の食文化の特徴をひとことで言うと

muroであると。むろ。

つまり素材を発酵させることで

さまざまな調理法を編み出した

昔の日本人の知恵が

今でも脈々と受け継がれている。

例えば味噌の熟成は麹菌の力。

漬物はおもに乳酸菌。

納豆は納豆菌。

菌を操り素材の旨味を引き出したり

保存にも役立つ。室こそ日本が誇れる

食文化の骨頂らしい。

Dsc05001 うちのお米でつくった麹

2015年1月 3日 (土)

ご無沙汰しております。

今年も初陽の出を拝みに元日

嘉納山へ歩いた。恒例の一人山歩きなのだが

10年目にして道を間違えた。

いつも入る脇道をぼんやりして通り過ぎてしまい

そのまま嵩山まで歩いてみたが

気持ちがしっくりしないので

急ぎ足で嘉納山に登り直した。

雲が厚いので7時40分頃ようやく

御陽様が顔を出した。

今年の機運は迷走気味かも。

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