麹作りのために小米を使うと言ったが
そのくず米を精米する時に
ちょっとしたこつがある。
といってもたいしたこつではない。
まず循環式精米機だと
小米がきれいな白米になりにくい。
いわゆるくず米の中には
米の欠片やもみ殻の破片
籾を被ったままの米や青米
雑草の種や繊維など混じっており
循環式だとその夾雑物が糠箱のほうに落ちにくい。
何段階かの圧力で回してみたが
なかなか白米だけにならない。
ある時実家にほったらかしにされていた
小型の家庭用精米器を母が壊れてるから要らないと言うので
直して小米の精米に使ってみたら
お見事。じつにきれいに白米になるではないか。
難点が5合しか入らないことだが
いちいち手でごみを取ることに比べればはるかに楽。
イヌビエやクサネムの種は白米の中から手で除く。
今年初めてのみそ作り。
うちの仕込みは超シンプル。
前日から一昼夜水に浸けておいた大豆を煮る。
水は山の湧水。
大豆は去年うちで穫れたもの。去年は豊作だった。
煮立てて耳たぶほどに柔らかくなった大豆を
すりこぎでつぶす。
すりこぎはみかんの木で自分で作った。
擂粉木棒はたいてい山椒の木で作ってあるが
山椒もミカン科なので遜色ない。
なめらかになった大豆に塩切りした麹を加える。
塩もいずれ自給したいが今のところシママース。
麹は例のごとくうちの小米。
大豆と麹を両手で練って掻き合わせて揉む。
甕の底にソフトボール大の味噌玉をぶつけ空気を抜く。
投げ終えたら表面を平らにして落し蓋と重石。
年に3~4回切返して年末まで寝かせる。
こんな簡単な仕事で申し分ない味噌に仕上がる。
百姓の殿様味噌と呼びたい。
というほど意識した闘いではないのだが
雄猪を仕留める。
運悪く足くくりわなに掛かったイノシシは
ワイヤーの届く範囲で暴れまわり
回りの土を掘りあげて土塁を築く。
人間が近づくと牙や歯をカチカチ鳴らして脅したり
鼻づらで土を飛ばし相手の視界を遮る戦法をとる。
仕留める側の人間のほうは
くくられているワイヤーの損傷具合を確認し
できれば彼を見下ろせる立ち位置を探したい。
彼は散発的に突進を繰り返す。その瞬間に
ワイヤーが切れて体当たりされたり
鋭い牙で噛みつかれるのは怖いので
人間も必死になって棍棒を彼の眉間に振り下ろす。
山の木立の中で安定した足場を確保するのが難しい。
ときに転げまわりながら棍棒でどつく。
彼の動きが止まり体を横たえる。口に棒を噛ませておいて
ナイフで頸動脈を刺す。血がどくどく噴く。合掌。